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千体地蔵

リアルで大きな弘法像とは対照的に小さく素朴なお地蔵様もある。 19番光照院で見たのは、手のひらにのるほどの大きさのお地蔵様。おびただしい数が並んでいる。歴史を感じさせる色あせたお地蔵様達の隣にまだ新しいお地蔵様を発見。そして脇に「一体5000円」の文字。お寺にある仏像って代々受け継がれた古い物じゃないの?しかも売り物?
 千体地蔵というのは、願い事がある時に一旦家に持ち帰り、願い事が叶ったらお礼に新しいお地蔵様と共に2体一緒に返す・・・というものなのだそうだ。ここにある新しいお地蔵様は願いが叶った方が最近祀っていった物なのだろう。「お地蔵様が減っていると、どこかで願い事を聞いていらっしゃるんだなぁ、と思います。持ち帰って良いんですよ」とご住職。『我が子の悪行が減りますように・・・』とぜひお願いしたかったのだが、叶う可能性は大変低くお地蔵様を返せなくなる危険性が有る。やめておこう。弘法堂前でお参りしていると、穏やかな笑顔のおばあちゃんに話しかけられしばし談笑。昔はほぼ毎日、足の弱くなった今も週の半分は来ていると言うおばあちゃんは「最近は話し掛けても無視されたり、挨拶もしない人が増えてねぇ・・・。ずいぶんお遍路さんも変わりましたよ」と仰る。人間同士の関係が薄くなってきている現代、お遍路の世界にも影を落としているのだろうか。弘法様もお嘆きの事だろう。
  12番福住寺にも千体地蔵がある。こちらのお地蔵様もお堂の中でたくさん並んでいるのだが、昔々夢のお告げで三河から移ってきたという言い伝えがあるそうだ。小さいながらもひとつひとつ表情が違いなんとも和む風貌。お地蔵様達が揃って三河から移動しているところを想像し、思わず微笑んでしまった。亡くなった先代ご住職は、有脇の地をこよなく愛したくさんの文章を残したそうで、それを奥様が「有脇の昔話」という本にまとめている。檀家さんに囲まれた写真からは、地域の生活にお寺が密着していた事が伺え、奥様と若奥様の人柄にもそんな和やかさを感じるお寺だった。

 


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