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中山勝比古(なかやま・かつひこ)氏

日間賀島を「タコの島」「フグの島」として売り出した仕掛け人として知られる。圧倒的なマシンガントークは、もはや伝説の域。「話し続けて、気づいたら東の空が明るくなっ。ていた」と話す友人知人の証言が多い。日間賀観光ホテル・オーナー。南知多から知多半島観光をにらむ巨人である。58才日間賀島在住。
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木下幸男(きのした・ゆきお)氏
ミルキーコークグループ代表。

常滑・半田だけでなく全国的に営業拠点を展開。プロレスラーのような風貌から繰り出される一刀両断の明快な論理展開に定評がある。常滑市観光協会の常滑支部長などを務め、観光事業のオピニオンリーダーとして注目されている。56才、常滑市在住。

いろんな場の話
困っているから集まる。 新しい風はそこから生まれる。

【中山】最近、いろんなところに「場」が出来ていると感じませんか?
【木下】それは感じています。鯉江良二さんが帰ってくるとここに寄ってくれるけど、なぜかその夜は大勢集まって酒盛りになる(笑)。あるいは、作家になった人が焼き物のマーケットの実情について若い人に講師をやってくれる。いつも五十人ぐらい集まってにぎやかですよ。
【中山】常滑には昔から良い塾の伝統がありますね。盛田家の塾とかね。
【木下】地域が小さくて凝縮しているのと、よそ者文化を受け入れる風土なのかな。
【中山】外の文化を受け入れないと発展しない。瀧田家など回船問屋も開放的だったでしょうね。


観光と組織の話
動きやすく使いやすいように、 動脈硬化した組織は立て直す。

【木下】観光には、いろんな組織が関係している。それで今、組織を見直し立て直そうと。動きやすいようにしなければと痛感している。
【中山】どの地域も、組織のことで悩んでますね。
【木下】会議があっても発言しない。賛成、反対の旗幟を鮮明にしない。だいいち、会議に参加しない。休眠会員が多い。そうすると、協会とかの合意は、どうやって取り付けていくのか。議決権などの面で、そこを新しく立て直して、結論が出やすく動きやすい環境に作り変えていく努力が必要ですね。
【中山】今も反省していることがあるのですがね、昔、みんなで島の観光をやろうといっていたとき、ある晩、自分はこのままで喰っていけれるんだろうかと不安になって震えがきた夜がありましてね。で「もう、協会とかなんだとかは全部やめだ。自分だけロケットで飛び出そう」なんて馬鹿なことを思いこんでしまったわけですよ。で、島の外へ出てみて、知多ソフィアの山本勝子さんと出会った。山本さんは、部外者なのに知多半島の観光のことを一生懸命考えていてくれた。 その時、一人では何もできないと思い至ったのですが、あの経験はありがたかった。
【木下】そういうことがあったのですか、大変でしたね。組織論でいえば知多の観光はまとまらなければという趣旨はよくわかりますが、それは一般論であって、常滑では一般論は通じないというのが私の立場であり考えなんです。常滑の町づくりの場合、どうやって後継者を育てられるか。現実問題、ビジョンを立てられる人は少ない。だからといって、外部の人間がビジョンを作ったらどうなるか。後継者は育たないですよ。伝統も文化もそこで途切れてしまう。デベロッパーや広告代理店が持ってくるプランなんか、下品な言い方ですが本当くそくらえですわ(笑)。
【中山】画一的なセミナーみたいなのも無駄ですね。 本気になることをやろうよと言っています。それがあれば行政だって動く。
【木下】今まで、行政主導型でやってきて、いきなり手をひくという話はないんじゃないか。僕もそう言っているんです。


5万部の観光地図
常滑では1年間に15万部発行。 ここから広域情報の発信も。

【木下】常滑の観光協会では今年、15万部の観光地図を発行しました。15万部刷っても1年もたない。常滑に人が来ているのを実感します。地図の発行部数から推定して、常滑から知多半島の広域観光情報が発信できるのではないか。さらに、観光冊子、ホームページの設定もと考えています。
【中山】観光協会の役員をしていて感じるのは、みんなで使う地図なりパンフレットなりに、個人のホテルなどの名前があると広がらない。変な商売根性といいますか、他店の広告が入った地図は配らない。だから私は、
日間賀観光ホテルの広告をするとき、「タコの島」のように、日間賀島の宣伝を大きくする。組織でやる広告はそこが難しいですね。
【木下】僕は単純明快で、観光に協力しないところは載せない(笑)。たとえば、空港会社は知多半島のことをどこまで考えているか。そこをはっきりさせていくのが、動く組織作りにつながる。もう一つは捨てられない地図を作る。デザインや情報の精度が大切ですね。
【中山】知多半島の観光ルートはつながっている、地図はそれを表現しないといけませんね。人間、勝手なもので、自分のところが中心だ、観光の顔だとつい思ってしまう(笑)。だけど、外に対して通用する観光地というのは、そうそうあるわけじゃない。スポンサーは要るが、広告は要らない。それとなにを書くか、その取捨選択。常滑の一人勝ちではこまりますがね(笑)。5市5町のパンフは山ほどあるが、観光客の立場で作られていない。


結び
「NO」と言わないで動こう。 生業としての観光を立ち上げる。

【木下】今はもう議論のための議論をするより、計画を立てて実行する段階。実行するには実績を積んだ人が要る。常滑には優れたリーダーが何人もいる。
【中山】市町の行政はすぐ、できないと言う。でも国や中部は、どうもそうじゃない。「NO」と言わない。民間と行政の風通しをよくするのも私たちの世代の仕事かなと。隠し事はなく、公にしたいと。生業という言葉が、最近、気になる。生きてゆくために飯を食う。ライオンは余分に食べない。自然の摂理。
観光もそうですね、なりわいとしての観光、そういう考え方があってもいいじゃないかと思うわけです。大食いもいれば小食もいますがね(笑)。
【木下】観光だから何をやってもいいということはない。手を加えちゃいけないところはたくさんある。だったら観光協会は何ができる。人の輪をつくる。ボランティアで大勢の人が汗をかかなくてはいけないし責任もとらなくちゃいけない。
【中山】観光地のイメージをどう描くかでしょう。方向性を明確にすると、個々がその枠組みのなかでいろんな方向に勝手に動き出す。それが実に面白い。大きな方向を作り、あとは個々で動くというのがいいだろうと思います。誇りがもてる観光事業。そこにたどり着くまでに、どうするか。人が来てくれたとき、日間賀や常滑をどう説明できるか。誇りをもって説明できるか。先日、島の30代の旅館の跡取りに夢をたずねたら「日間賀島はこのままでいい」と。そのお嫁さんは「島での子育てが夢だ」と。泪が出てきましたね。私たちのやってきた仕事が若い人に伝わったんだという実感がありました。

取材の後で

対談は木下さんの工房で。自然の風が吹くなか、談論風発。知多半島のことを一生懸命に話し合う熱意は時間切れのカウントアウトで終わった。またの機会を待ちたい。




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